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保存の状況

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  2. [上川倉庫の歴史 Part 4]保存の状況

上川倉庫群は、旭川駅と一体した敷地にグリッド状の1区画分を囲むように配置されていました。1〜11号倉庫(4・9号欠番)と事務所棟が「口」の字型に、その中央に最も大規模な11号棟があるレイアウトです。
現存しているのは、1号・2号・3号・8号・10号・11号の6棟の煉瓦造りの倉庫と、木造造りの事務所棟です。これら7棟は平成13(2001)年に国の「有形文化財」に登録され、旭川の歴史伝承と都市景観を形づくる一翼を担っています。

上川倉庫群のシンボル、事務所棟

宮下通から見てひときわ目を引く、白くかわいらしい2階建の建物。シンボルでもある事務所棟です。上川倉庫群の中で唯一の木造建築で、旭川で現存する木造の建物としては最も古いとされています。現在も現役の事務所として利用されています。

入母屋(いりもや)屋根の妻側(三角形の壁面側)が正面です。
左右対象の洋風上げ下げ窓や、通路側の1階側面の和風引き違い窓が用いられています。玄関ドア上には、当時バルコニーがあり、2階中央の窓は出入り口でした。和洋折衷の明治中期の空気感が伝わる意匠であり、当時の面影が残っています。

6棟の赤煉瓦倉庫

煉瓦造りの倉庫はすべて平屋。平側(長い方向)が正面として、基礎とともに煉瓦で築かれたアーチ型の支えによる出入り口があります。
倉庫群は、柱が一本も使われていません。煉瓦造りは横揺れに弱いため地震の多い日本での保守は難しいとされていますが、現存しているのは旭川で大規模な地震災害が少なかったおかげかもしれません。
屋根は、当時は瓦葺きでしたが、現在は鋼板葺きです。

また、現存している6棟に加えて、5号・6号・7号倉庫が残っていましたが、2000年にやむを得ず解体されました。
5号・6号倉庫は倉庫群で唯一共有の壁で繋がっており、この接続部分のクラックの補修が困難なために。そして7号倉庫は製氷工場でしたが、内部に柱を建て2階を増築しており初期状態への復元が困難だったためでした。

1号倉庫

明治27(1904)年の建築で、宮下通に平行に配置さた事務所の右手に見える倉庫です。現在は、インテリアコーディネートや旭川家具、小物販売をする「INTERNI(インテリーニ)」となっています。

2号倉庫

最も古い明治33(1900)年に建てられた倉庫で、1号倉庫とL字型に配置されています。現在は、音楽や舞踏など地域で文化活動を行うグループが広く活用する文化施設「リハーサルホール」となっています。

3号倉庫

2番目に古く、2号倉庫と並んで配置されています。現在は「旭川市民ギャラリー」となり、文化・市民活動団体、学生や市民の方々の様々な作品展示スペースとなっています。

8号倉庫

1号倉庫と同じ年に建てられ、事務所の左側・宮下通に並行に配置されています。現在は倉庫として活用されています。

10号倉庫

3号倉庫と通路を挟みL字型に配置されています。明治43(1910)年の建築です。現在は「デザインギャラリー」として、デザイン活動の発表と啓蒙を目的とした市民ギャラリーとして活用されています。平成9(1997)年に、煉瓦の外壁を保存し内側を鉄筋コンクリート壁で補強改修されました。

11号倉庫

現存する倉庫群の中で、最も新しく、大規模な倉庫です。現在は、旭川周辺地場の食材と大雪山の静水を生かした、クラフトビールと食文化の発信基地「大雪地ビール館」として親しまれています。